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最高裁判所第二小法廷 昭和27年(あ)4447号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人押山弘の上告趣意第一点について。

倉荷証券自体は真正に成立したものであっても、それに表示されている物件の大部分が虚偽無価値のものであり、その物件では金融を受け得られない関係事実を肯認できる本件においては、たとえ所論商法六〇二条の法律関係が成立しても、詐欺罪の成立を妨げるものではない。所論引用の判例は本件詐欺罪の成否を判断する上に適切のものではない。論旨は採用の限りでない。

同第二点について。

事実誤認の主張であって、刑訴四〇五条の適法な上告理由に当らない。

また記録を調べても、本件に刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって刑訴四〇八条により主文のとおり判決する。

この判決は、裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 谷村唯一郎)

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